村松尚登氏の『テクニックはあるが、「サッカー」が下手な日本人』(ランダムハウス講談社)を紹介します。著者の村松尚登氏はあのFCバルセロナを中心に、12年間もスペインでサッカー指導を行っており、現在もFCバルセロナのジュニアスクールで12歳以下の子どもたちを指導している方です。
今や世界で最も注目されているスペインサッカー。日本との違いは何か。
日本は戦術、テクニック、攻撃、守備などのサッカーを構成する要素を細分化してトレーニングを行う傾向があるのに対して、スペインの選手はとにかく「サッカー」は「サッカーをやることでしか上手くならない」という姿勢で、できるだけ子どものときから実戦に出場する、練習も実戦を意識した練習をする、ということです。
スペインの場合、一流チームの補欠選手でいるよりも、二流チームでも試合にでたほうが楽しい、という徹底した姿勢があります。シンプルですけどとにかく、できるだけサッカーに楽しんで、サッカーに慣れる、これが一番のサッカー上達法だということだと思います。
練習スケジュールについても、たとえば日本では長期スケジュール(年間、月刊スケジュール)が重視されがちなのに、スペインの場合は「週間サイクルの努力」の積み重ねが大切だといいます。週末の試合にむけて練習し、週末の試合の結果から課題を見つけて、次の週末の試合にむけて練習する。
そもそも、サッカーというスポーツが先の読めない「カオス」なので、長期目標をたてて細分化した練習でパーツを高めていく、というやり方にはむいていないスポーツで、むしろストリート・サッカーにあるような自由で不規則な状況に、いかに順応していけるか、ということのほうが重要だということです。そうすることで「アウェイ」というプレッシャーにも勝てるチームづくりができるのでしょう。
リフティングもパーツとしての練習になりがちですが、サッカーをやっている人はやはり実戦をイメージして練習すると、より効果のある練習になると思います。